ショートショート151~1602018.11.30 12:08151.自分を幸せから遠ざける為、1人山奥で寂しく、孤独を抱えながら亡くなった老人は、遠い未来で考古学者らに発見され、博物館で来客から脚光を浴びている。・・・152.その山奥の廃寺には、無数のロープが垂れ下がっていた。輪っかを下にしたそれは、風が吹いたためなのか、ゆっくりと揺れ始...
ショートショート141~1502018.11.30 11:49141.「今日は客が来るから遊べないんだ」そう言っていた友人が、翌日心肺停止で亡くなった。椅子に座り亡くなっており、机には彼のカップと飲み干された来客用のカップ、そして何故か遺書があった。誰が来たのか、何故自分が死ぬ時がわかったのかは知らないが、死に顔は安らかだった。・・・142...
ショートショート131~1402018.11.30 09:56131.「旦那様、ご覧下さい。深さも長さもピッタリでしょう。品質も最高級で御座います。しっかりと亜麻仁油で磨き致し、蓋裏にも緻密な模様を施しました。美しさは勿論、寝心地も粉う事なく一級品で御座います。さあ召ませ召ませ…」死神の仕立てた棺桶は、死期を縮める程の寝心地であった。・・・...
ショートショート121~1302018.11.30 09:36121.その男は常にラジオを持っていた。「ノイズに耳を傾けると奥の方で声がするんだ。懐かしい…妻の声が…」病室、最後の時もそのラジオは男の傍にいた。遂に事切た時、「おやすみなさい」と一言女性の声で流れ、それっきり。それが妻の声なのか、はたまたラジオ自身の声なのかはわからない。・・...
ショートショート111~1202018.11.30 09:12111.その山奥の、とっくに誰も来なくなった神社の賽銭箱の中には、綺麗な花や輝く石、貝独楽やめんこなどが沢山入っていた。早朝、苔生した鳥居の奥に入ってきた狐と狸が持ってきた宝物がなんだったのか、神様だけが知っている。・・・112.夏の深夜、庭からヒソヒソと騒ぐ声がした。慌てて外へ...
ショートショート101~1102018.11.30 09:04101.昔からよく死にかける夢を見る。様々な不運により死に直面する僕。しかしそこに必ず現れ、助けてくれる女性がいる。ある日僕は車に轢かれかけた。アッと思った瞬間、背を押され助かった。振り向くとあの女性がおり、そして消えた。あの女性は幽霊なのか、はたまたこの世が夢なのか。・・・10...
臨終の花2018.11.29 09:44臨終を迎える花が居たので、見届けてやろうと隣に座った。「申し…私を花だと思いますか?」花が問う。『違うのですか?』「ああ…イエ…イエ…」花の言いたいことはなんとなしにわかった。鮮やかな色彩は失われ、太陽から顔をそむけ、ただ只管に死を待っている。それから2日程が経った。「アァ…」そ...
洋風の家2018.11.27 08:23小学校低学年の頃の話です。(少し長いので3回に分けさせて頂きます)私が小学校2、3年生頃によく近所のおうちに入り浸ってたんです。私の家は両親が共働きだから放課後は祖父母の家で過ごしてたんだけど、おばあちゃんとはどうも反りが合わなくて、よく喧嘩して外へ出されててwそういう時歩いて1...
モダンな洋館2018.11.26 09:13小学校3~4年くらいのことです。近所の友達と一緒に自転車で15分くらいの公園に行ったときに、その公園から少し離れたところにあった林の中にモダンな「洋館」があるのを見つけて、中をのぞきにいきました。レース調のカーテンがかかっていて、中は見えませんでしたが、佇まいは2階にはインナー・...
時計もズレた2018.11.26 08:31別の学年のことだからあんまり細かく覚えてるわけじゃないんだが、 体育から帰ってきて教室に戻ったはずの連中が1クラス全員失踪した。 体育の次の科目(数学だって聞いた気がする)の教師が見にいっても誰もいなかったが、 もう1つ後の時間に別の教師が行ったらちゃんと全員いて着替えの片付けと...
絶対に借りられない本2018.11.26 08:19小学4年の時、授業の一環で図書室を使っていて、とある本が気になり、昼休みに借りようと思った。 (タイトルはもう覚えてないが、読書感想文向けの本だった) 図書室の本は図書委員がいる昼休みでないと貸し借り出来ないので、授業中は借りることができない。 で、昼休みに本を借りに図書室に行っ...
世田谷の洋館2018.11.24 12:27「すいません、この辺に洋館があるのですが、どこか知りませんか?」買物途中、私の母は呼び止められた。振り返ると老紳士といった雰囲気の人が立っていた。彼はこの近所にあるという洋館を探していた。彼から聞いた話をまとめると、その洋館は「思い出のマーニー」に出てくる湿地屋敷みたいな感じらし...