ショートショート 1351~13602021.01.25 03:221351.祭帰りの海辺にぽつんとあったその出店には瓶詰めの夜が売られていた。一本持ち帰りお皿に注いでみると藍色をした液体と、カチンと硬い音がして真鍮色の可愛い満月が転げ出た。どこか生きているのか半分沈むそれと視線が合う気がして、ふと辺りに金木犀の香りが漂い、瓶底には『秋夜』と書か...
ショートショート 1341~13502021.01.18 03:181341.「ニュースです。本日正午、行政解剖中の室内に『その解剖ちょっと待った』と叫びながら何者かが乱入し、腹部を切開していた遺体を奪い去って窓から逃走しました。現場は血や内臓が散乱し、当時いた監察医によると『私達大人に止める資格はなかった』との事です。今尚犯人は逃走中。次のニュ...
ショートショート 1331~13402021.01.04 03:091331.眠れぬ夜、月明かりの先で白電話が輝いていた。数字はなく0の代わりに三日月マークがあり回すと『はい、こちら電話懺悔室です。ピーという音の後に告解をどうぞ』と声がした。ピー。私は呟く。ぷつぷつと、忘れていなかった様に。『聞き届けました』と声がして気付くと電話はなく、夜が明け...