ショートショート 1162~11702020.08.25 05:041161.午後二時過ぎの緩やかな崩壊により、人畜無害なおばけ達は昼の半月に成仏し、薄荷色の影を空に消した。目に見えなかった脅威達が巨大ウーパールーパーとし姿を現した今では逆らう者は誰もいない。静は動を溺れさせ増殖していく。いち早く脅威側へついた私達はアイスを食べながら、夏の予定を...
ショートショート 1151~11602020.08.19 14:381151.時折君を探す夢を見る。時代背景も疎らに、相手も少年だったり少女だったり、或いは魚だったり。電話が鳴る。「すぐに行くよ、何時も君が待たすのだから偶には大目に見てくれよ」そう宥めながら宛てもなく街を、荒野を、月を駆ける。私は空間把握が高いので、死ぬ迄には君を見つけられると踏...
ショートショート 1141~11502020.08.12 14:321141.神様のいない場所を巡る旅。林檎の裏側、素数の隙間、旧校舎のにおい、文字と人間との捻れ、教会の裏影、月の零した白い魚、暮れていく空が奏でるビートは気怠く、浮世離れした君はホログラム越しにぷかぷかと眠り、偽物らしい一番星が光る路地裏を進むと、遠い在りし日の本棚の隙間へと辿り...
ショートショート 1131~11402020.08.05 14:261131.友人が点Pを捕まえた。どこかの教科書から逃げたらしい。保護法を調べると警察ではなく市役所に届けねばならない様だ。日曜日、私達はバスに乗り市役所に行き、あっけなく点Pは職員に預けられた。その日私達は何となく遠回りをして帰ったのだが、期末テストになると私達は少しだけその事を...