ショートショート 1071~10802020.06.24 13:401071.君が歩く。本屋が美容室になり公園がビルになり、どんどんと道が変わっていく。君が地図を回す。方位磁石が明後日を向き、太陽の位置がずれていく。君の手を引き歩いて行く。本屋、公園、交差点、目的地は目の前だ。「流石だね」と呑気に笑う君が、家のトイレに行くだけで迷子になる理由を痛...
ショートショート 1061~10702020.06.17 13:321061.気付くと僕は機関車にいた。深夜だろうか、青く光る車内には僕一人で、チカチカと影と月光が行き違う。窓の外には大きな白い魚が泳いでいた。どうやら此処は海の底で、魚に反射した光が車内を照らしている。目覚めると倉の中で私は古い機関車の玩具を握っていた。中には白い金平糖が5粒、光...
ショートショート 1051~10602020.06.10 13:191051.銀を瞬かせながら現れたのは、白いクジラの姿をした美しい死神だった。「こんなに暗い、この世の隅にも来るんだね」『私は貴方が何処へいても必ず迎えに来ますよ』「寂しかった」『もう大丈夫、私が来ました…』宇宙の端にて独り浮かぶ宇宙飛行士から、機械音はもう聴こえない。・・・105...
ショートショート 1041~10502020.06.03 13:051041.少女の存在証明1.少女とは永遠である(性別ではない)2.永遠とは固定された時間である3.少女は永遠の中に保存されている4.少女とは複数の同一存在である(1.2.3より)5.保存場所は形而下であり、私達の夜であり夢である 6.故に今も何処かで誰かの少女が分離し永遠の中へ溶...