ショートショート 841~8502020.01.27 01:44841.「世界は回数である」と誰かが言った。インドの寺院では今何個目かの黄金の円盤を挙げては下げ、終焉への駒を進めている。1844京6744兆737億955万1615回の内の今は何個目でしょう。月までの距離は42回で、宇宙は創造主の指の数とリンクした進数で動き、心臓の動作数と死神...
ショートショート 831~8402020.01.20 01:26831.生きているふりをして呼吸をしていた少女は、ふいと呼吸を止めたとき、その涼しさに驚いた。『私はもしや、魚じゃないかしらん』、海底散歩は陸の何処よりも気持ちよく、太陽の温もりも月の掌も澄み渡る。『おかえり』『おかえり』見知らぬ魚や蛍石がそう呟いた。これは自殺の話でしょうか?・...
ショートショート 821~8302020.01.13 01:10821.私達がまだ少年だった頃、台風が来てはよく一緒に川を見に行った。これは私達は永遠で、死が遥かに遠く、だからこそ命を持て余しての事だった。使い切りのサーカス員と変わりない。だが今はどうだろう、寿命が見え、命が惜しくてたまらない。私は怯え、友は自然に興味を無くした。私達は老いた...
ショートショート 811~8202020.01.06 03:46811.代々恋する乙女達に引き継がれているこの古い呪文は、「さようなら」という意味なのですが、それを知る乙女は居らず、ただ純粋一心に唱えます。これは愚かでしょうか。・・・812.「何でもあるは何もないもある訳であり、何も無いは只の入り口であり何も無いがあると気付けば何かがある訳で...