ショートショート 701~7102019.10.28 04:52701.城砦の石垣、土管の中から女性の歌声が聞こえた。手を伸ばすとすぐに土壁に当たり、その手前に厭に冷たい塊がある。取ってみるとそれは古い南京錠だった。歌声はその鍵穴から聞こえていたのだ。この城には座敷牢がある。そんな噂を 思い出した。・・・702.芸術家兼奇術師の遺した作品に、...
ショートショート 691~7002019.10.21 04:43691.テレビの暗い画面に赤い着物が私の前に映っていた。それはゆらゆらと揺れだして、唐突に脱げ落ちた。中から現れたのは真白な骸骨だった。それはゆっくりと此方を見、目が合ったか否かの時に「ガシャン」確かにそんな音を立て崩れ落ちた。床を見ると仄かに甘く香る灰が一握り山になっていた。・...
ポケモンと現実のバグ2019.10.19 13:33小学校4年くらいだったと思うんだけど家帰ってポケモンやってたら部屋全体からポキポキ?ペキペキ?みたいな音が鳴ってゲームボーイの電源が切れた壊れたかと思って何気なく当時飼ってた金魚に餌やってたら急に頭痛がして気持ち悪くなった急いでトイレに直行してゲーゲー吐いてたらポキポキが鳴りやん...
ショートショート 681~6902019.10.14 04:35681.宇宙のどこかには、私達生命が断念した穴だらけの数式の墓場がある。いずれそれは芽吹き、新しい生命に完成した形で着想、および出産されるだろう。これはいわば生まれ変わりである。地球の内側には存在する無、0、白、化石が埋まってている。いつか私も、私の化石を掘り出すかもしれない。・...
追いかける老婆の夢2019.10.08 02:07ちょうど一年ほど前、こんな夢を見た。気がつくと俺は小学校の体育館の入り口に立っている。体育館にも後ろのグラウンドにも誰も居ない。入り口にぼーっとたったまま、グランドに出るか体育館に入るか迷っていると、突然大きな怒鳴り声が聞こえた。びっくりして辺りを見回すと、体育館の奥にぼさぼさの...
[兵庫]小舟の人形2019.10.07 09:182008年の8月の終わり頃、一週間ほど夏休みが取れたので兵庫県の実家に帰省しました。ある日、叔父(父の弟)に頼まれた簡単な仕事の手伝いを終え、二人車で帰路につきました。時刻は夕方で、全開にした窓からの風はまだまだ熱気を孕んだものでしたが、しかしそれは夏の終わりを感じさせるもので、...
ショートショート 671~6802019.10.07 04:27671.やあや御機嫌よう、ここはユートピアと相成りまする。犯罪反逆蚊帳の外、皆が夢のうち生きております。少し目を回し粉を吸え、私の声が聞こえるか。達磨の豪奢な朱に交われよ皆の者、洗脳は教育堕落は至極、分厚い壁の内に笑え、嗚呼紙吹雪!さあさパレードが始まるぞ、判断を握り潰し ──拍...
雪だるまの絵2019.10.02 14:02友人が若い頃、ある雪の降った日。友達を二人家に誘って飲み食いし、夜中までコタツでいろんな話をしたり、ノートに絵を描いたりしながら過ごしていた。やがて三人はコタツで雑魚寝。翌朝起きて、昨日何話してたっけ、と何気なくノートを見ると、片隅に雪ダルマの絵が描かれている。「あれ?これ描いた...