赤い福禄寿

俺は夢の中で神様に出会ったことがあるんだ。

それは小学生の夏のころで、遊び疲れてくたくたになって眠った夜だった。

夢の中で俺は日の燦々と当たる神社?みたいな場所にいた。

で、いつの間にか目の前には真っ赤で頭が異様に長い福禄寿みたいなおじいさんがいたんだ。

そいつは笑顔だったんだけど、なぜかうすら寒くなるというか、心の底から怖気がくるような

ニヤニヤ顔で、俺は子供ながらに「ああ、こいつはおそろしいタイプの神様なんだ」って感じた。

そいつは碁盤のようなものと石を取り出して、俺に『勝負をしよう』といったそぶりを見せた。

俺はなぜか「こいつと勝負をして負けたら、命をとられる」と思ったんで、嫌がったんだけれども、

体が言うことを聞かなくて、無理やり対局をさせられた。

ルールは囲碁とも五目並べとも違うような、よくわからない石遊びで、

俺はそいつには絶対勝てない、といった事が直感で分かった。

結局、俺負けたんだよね。そいつに。

その時のそいつの笑い顔はとっても怖かったんだと思う。

で、その時俺は「オセロだったら負けません!絶対に勝ちます!」

ってそいつに再戦を挑んだんだ。

(余談だが、俺はオセロが滅茶苦茶強い。定石も小学生の時点でほぼマスターしていた。)

オセロみたいに両面が白黒になっていない石だったんだけれども、無理やりオセロルールで

対戦をして、なんとか勝利することができた。

その結果がそいつにとって喜ばしかったのか、悔しいものだったのかはわからないが、

真っ赤な福禄寿のおじいさんは最初から最後まで笑顔のまま俺を神社から帰してくれた。

次の日はいつもより早い時間に起きたことを覚えている。

この神様は多分、悪い神様ではないと思うんだけれども、何の神様なんだろうね?

俺以外に、赤い福禄寿を見たことある人いる?

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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