しんしんと雪が降る寒い日に、アパートの一室で若者10人が亡くなったというニュースが流れた。
此処までならまたSNSで知り合った人たちが集団自殺でもしたのだろうと特に興味もわかなかったのだが、そのニュースに「百物語」という言葉が付いたことで私の興味はその画面へ吸い付いた。
「若者10人が百物語をして、その直後、また途中に全員が亡くなった」
このいかにも不気味でいかにも目に見えぬ何かが関っていそうな事件は、私以外の人々にも強烈なインパクトを招いたようで、人それぞれに様々な憶測を呼んだ。曰く「牛の首の話をしたんだ」曰く「百物語の呪いだ」など、恐れと或る種の期待を含んだ噂は瞬く間に広がっていった。
私たちがそのニュースの続報を楽しみに待っていると、その初報から3日後、新たなニュースが流れた。
「事件当日、部屋は閉め切り密室状態でした。また部屋には大きく長い蝋燭が100本あり、全てに火をともした跡がありました。
そしてその翌日、百物語の会をすると聞いていた友人が感想を聞こうと連絡をしたが返信が無く、不審に思い大家さんと共に扉を開けたら、皆が倒れていたそうです。その友人曰く、扉を開けた時、『一本の蝋燭がおおきく燃え動いたのを見た』との事です。
また彼らの死因は酸欠・・・」
これは必然的な事故だったのか、はたまた偶然を装った呪いだったのか、この事件についての議論はまだ尽きそうにない。
0コメント