ショートショート41~50

41.窓を開けて寝てはいけないよ。

夜中に外に出てはいけないよ。

カーテンを開けて寝てはいけないよ。

夜中に騒いではいけないよ。

「夜中に目が覚めても、決して窓を見てはいけないよ。」

月光に輝く巨大な目玉と目があった。

・・・

42.ピアスを開けたら、右から赤色、左から青色の糸が出てきたのだが、どちらを引っ張ればいいのだろうか。

・・・

43.「その女の顔を見てはいけない」

その女とは多分この着物姿で髪の長い女の事なのだろう。

幸いその女は後ろを向いているようで

顔は見えていない。

どうしようかと悩んでいると、その女の違和感に気が付いた。

帯の結び目がこちらを向いていないのだ。

・・・

44.ある旅館に泊まってから、夜中になると遊女の霊がでるようになった。

その霊は何をする訳でもなく、

ただ寝ている私の小指と指切りをして、私の横に座っているだけなのだ。

その悲しげな目を見るたび、私は何かを思い出しそうになるのだが、

結局思い出せずにただ彼女の小指を握り返すしかない

・・・

45.「鍵を握りながら眠ると、扉の夢を見る」そんな噂が学校で広まってから、

僕の学校周辺では、行方不明者が後を絶たない。

・・・

46.人間の脳をデータ化し、バーチャル生命体として半永久的に生きる方法が生み出された

しかし、バーチャルであるからか、「人間」として把握されたのは

アナログ人間が飽きるまでであり、

忘れ去られたバーチャル人間は

今なお誰も使わないフロッピーディスクで来客を待っている

・・・

47.あ、スマホ

そう気付くより先に、私の足はスマホの画面を踏んでいた。

ドッポん…

画面から水飛沫のようなものが飛び散り、また画面へ戻っていく

波紋が落ち着き、元の表面に戻ったスマホの画面には、

同じくスマホへ足を踏み落としたのであろう人の名前のアプリが連なっていた。

・・・

48.「このお祭りに行きたいなら、必ずお面をつける事。そして決して外さない事。」

そうは言っても、だって

2年前に居なくなったあの子らしい

お面の子が、目の前に

「僕だよ!」

お面を取って顔を見せると

「「「あーぁあ」」」

ポトリと

みんなお面だけを残して

光も屋台もあの子も消えた

・・・

49.最近、夜2時頃になると外から

ザッザッザッと家の周りを走り回る音がする。

そして決まって獣臭くなり、ハァハァと息遣いも聞こえてくるのだ。

心当たりは…そうだ

「前に飼っていた犬が来たのかも…!」

きっと私に会いに来

「ちがああァううゔぅ!!」

窓から酷く不気味な女の声が聞こえた

・・・

50.部長のいう「娘」の年齢が、8年前から5歳だという事に対し、何も言わない事がこの部署の暗黙のルールである。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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