ショートショート51~60

51.「今時の子は何をしているんだい?」

「そうですね…みんな貴方の歌を歌ってますよ。」

「なんだ!今も昔も変わらないな!」

カタカタと笑う骸骨をテーブルに招き、私は蓄音機を回し始めた。

・・・

52.「精密検査の結果、どうも偏頭痛のようです。頭痛薬と鎮痛剤と、そうですね、早く治るように神社とかでお祓いとかしたらいいかもしれませんね〜」

良かったと安心する患者の背中を見届ける。

原因不明の頭痛。

…脳に映っていた不気味に動く人影の事なんか、

患者に言わなくてもいい事だ。

・・・

53.異様に大きなキャベツが出来たので、中を見てみると、赤ん坊ぐらいの大きな藁人形が入っていた。

・・・

54.この家では色々なことがあった。

心霊現象は勿論、人影や半透明の手足、声なんかも日常茶飯事だ

私は今日でこの家を去る

家の鍵を閉め、振り返った

窓一面に人影が映り、皆が手を振っていた。心なしか寂しそうな彼らに

私も手を振る

此処での生活は楽しかった

私も死んだら此処に来ようかな

・・・

55.山で見つけた綺麗な小川。

近くに駆け寄って見惚れているとある事に気が付いた。

何度もここに登っているがこんなに綺麗な小川、見たことがない。

第一さっきまで雨が降っていたんだ。

濁っていないはずがない。

「かんがいいな」

顔を上げると何もおらず、また川も消えてしまった。

・・・

56.天井裏から、「おかあさんよ」と低く不気味な声がした。

・・・

57.黄色いハンカチが枝に括り付いているのでそれを追って行くと、

「未使用」と書かれてた椅子とロープが僕を待ち構えていた。

・・・

58.夢を見た。

僕は狭い箱の中へ閉じ込められ、

「開けて!出して!」

と必死になりながら目の前の壁を叩いていた。

朝、目が覚めるといつもの天井が

目に入った

はて、僕の部屋の天井に

あんな手形があっただろうか

・・・

59.アフリカのとある地にて壁画が見つかった。原住民が言うには「罪を裁く者」といい、なんでもこの壁画を見た者が何らかの罪を背負っている場合、必ず罪を裁きに来るらしい。

「罪の無い人なんかこの世にいるのか?あの日から、アレが毎晩夢に出るんだ」

考古学者はそう語る。

・・・

60.「いってきます」

「はい、いってらっしゃ…」

後ろを振り向くと誰もいない

煙草の残り香だけがする

貴方の遺影がパタンと倒れた

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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