学校の放送室の怪談

俺の母校の小学校は、なぜか怖い話が放送室にばかり集中している。

数えきれない噂があるんだけど、中には実際に起きている出来事もあったりする。


【授業中の放送事件】

80年代前半の出来事。 午前10時過ぎ、2時間目の授業の最中、放送の流れるスピーカーの電源が入り、 「・・・さい。・・・なります。・・・さい。・・・なります。」 と、抑揚の無い棒読みの声で、低めの大人の女性の声で放送が流れた。  

1・2年生には泣きだす児童もいたため、1,2年生の担任の先生は教室に待機。 

3年生の教室に居た3年の担任の男性のA先生が、生徒を落ち着かせた後真っ先に放送室を確認に向かう。 続いて4~6年生の担任等他の先生や用務員が駆けつけ、 真っ先に駆けつけていたA先生に情況を聞くも、「放送をした者を確認できなかった」という。 

当時、学校にいた女性の先生は皆授業中だった。 学校では、外部の者が学校に侵入し行った悪戯として、防犯体制を強化した。 


 これは俺が小学校に入学するだいぶ前に起きた事件。 真っ先に駆けつけた3年生の担任のA先生は、その事件の日から体調不良を理由に、 仕事を休むようになっている。他の先生たちで台替えの授業を行ってA先生の復帰を待ったけど、A先生は結局3週間ほどで退職。 3年生の生徒が手紙を書いたり連絡を取ろうとするも、連絡はつかなかった。 さらに、A先生は精神病で病院に入院しているという噂が流れる。  

件の流れた謎の放送、「・・・さい。・・・なります」、はボソボソとした口調だった為、 生徒の間で、こう聞こえたー、いやいやこうだー、と様々な意見が流れたが、一番多かった意見が、  

「見ないでください。おかしくなります。」


【窓ガラス破壊事件】

当時小学校5年、放送係のB君が放課後、1階放送室の校庭側に面した窓に体当たりして、

外れた窓枠と一緒に放送室に面していた校庭に落下した。

落下と同時に窓ガラスが割れてB君は切り傷を負い、入院が必要な位の大怪我。


これは俺が実際に小学校の生徒だった頃にあった事件。B君はクラスメイト。

入院しているB君に、俺とクラスの数人とで一緒にお見舞いに行って話を聞くと、

放課後、放送室で係の仕事をしていたら、急に放送室に女の人が現れたらしい。

髪は長め。後ろ向きで部屋の隅に立っていて、全く動かない。

B君は驚いて、放送室から逃げようとしてドアの方を振り返ったら、

今度はそのドアの前で、ドアを塞ぐように後ろ向きのままで立っていた。

意味無くここに居る訳じゃない。自分を狙っている。

と危機感を感じたB君は、今度はドアと反対方向の窓に向かってダッシュ。

窓のカギ開けた所で、窓に女の顔の輪郭が映ったのを確認する。

つまり、さっきまでと同じ後ろ向きじゃない、こちらを向いている。

ここでB君半分パニック状態になる。

もう窓を開ける時間さえ惜しい。B君は窓にそのまま体当たり。何とか放送室から抜け出せた。

というのが一連の流れだったらしい。

どんな顔だったの?という俺らの問いには、

「ガラスに映ったのを見ただけだから良く分らない」とB君。

服は?と聞くと、

「ボロい古い柄の布を何重にも重ねたようなもの」

俺たちはそれを学級新聞にしようとしたが、流石に先生に怒られた。

B君は閉所恐怖症になってしまったけど、怪我が治ると転校して他の学校に復帰した。


【自殺】

教頭であるC先生が夜に学校に忍び込み、放送室の直ぐ向かいにある上り階段で、

すずらんテープを束ねたものを階段の手すりに結び付けて、首を吊って自殺。

学校で契約していた警備会社の社員が発見。


 【消えた魚事件】

2か月ほど、学校中の水槽から観賞魚が1匹づつ消えていった出来事。

後に放送室の資料を保存する部屋の引き出しから、大量の干からびた魚が発見される。

町内の有志の人が、事件が落ち着いた後に魚を寄贈してくれている。


これは近年起きた出来事。この話は俺の姉(子供がそこの小学生)から聞いた。

学校中の水槽の魚が日々どんどん消えていき、ほとんど魚が居ない状態にまでなったらしい。

先生たちの間で調べて、ある一人の生徒の仕業だと判明して、その子に話を聞いたら、

放送室の隣の放送準備室(資材置き場的な部屋)に隠してあるって白状した。

その子が抜き取ったのか、それとも腐ってしまったのか、発見された干からびた魚には目が無かった。

先生たちは、特に犯人について生徒に発表しなかった為、どの子の仕業かはっきりとは分からないが、

ちょうどその時期に、不自然に急に転校した子供がいて、その子では?と噂されている。

さらに、どうしてこんな事をしたのか、という先生の問いにその子は、

「あれの顔をみても、こうすれば助かる」と、錯乱気味に答えたとの噂もある。 

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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