[八王子]まだ成仏していない

八王子の帝京大学に通ってた俺は高校卒業してから八王子市にひとり暮らししてたんだけど、 アパートが2年契約だったので、更新月になってどうせなら引っ越そうと思って引っ越しを決意した。 

引っ越し先は八王子の16号沿いからちょっと入り組んだところに入る改装したてのアパート。 

かなり古いアパートだったみたいだが、中を改装してリニューアルしたと不動産屋が言ってた。 全部で4部屋あるんだが、当時入居した俺がリニューアル後最初の入居者だったらしい。 

 俺の部屋は2階で、その部屋の玄関にだけ繋がる階段があって、階段の真下は下の住民の玄関ッて感じ。 その階段の脇に丁度駐車場が止められるスペースが1台あってそこも自分用に契約した。 

まず部屋に入ると、左に急な階段があって登り切ると右側にドアがあって、開けると屋根裏部屋という隠し部屋があったんだ。 ロフトに憧れてた俺にとってかなりインパクトがあって、決め手はこの部屋の存在だった。


住み始めてから夜中に速攻人生初の金縛りにあった。しかも呼吸まで苦しいというダブルパンチ こんなの初めてだった。 そんで玄関のドアをコンコンってノックする音が聞こえた。 

ちょうどその日はすっげー雨で、雨音が当たってるだけだと思いたかったが、金縛りに合ってる俺は心霊現象にしか感じなかった。

その日から俺の体調なんかおかしくなったんだよね。

急に動悸がしたり、手足が痺れたり… 精神的な病気じゃないの?って言われたりしたけど自分には全く心当りがない。

そして夜、車の運転中に急に心臓がバクバクしてなんかやばいって思って路肩に車止めて休んでたら 手足が痺れて、足がピーンってなって手がクロスになった。 書いててよくわかんないけど、とにかく全身が痺れて動けなくなって一緒に乗ってた友人に救急車呼んでもらった。 

 医者の診断だと、過換気症候群って言われた。当時の俺にはなんでこんな症状になっちまったのか疑問でしかなかった。 


学校が終わっていつもどおりアパートに車で戻った時に決定的な事件が起きた。

アパートに着くと、俺の駐車場に何やら喪服きた女性とその家族?2人と坊さんが立ってんだよ。 

幽霊じゃなくて実物ね。 

 俺の止めてる駐車スペースの中央に置かれた花束と線香。それに向かってお経を読む坊さんと手を合わせる数人。 異様過ぎる光景だろ?「おいおい何やっちゃってんの?」って思う前に、なんでこんなことしてるのか知りたくてしょうがなくなり、 坊さんに近づいて「すいません、この駐車スペース自分使ってるんですけど、何かあったんですか?」って聞いたんだよ。

なんか聖水?みたいな清める水っぽいの撒いたりしてて、よくわからん雰囲気だったしね。 で、何があったんですか?って聞いたの。 

 そしたら女性の人が「ごめんねぇ…私の主人がね、ここで自殺しちゃったのよ…」って。 「は?ここって…俺の部屋で?」って2階の自分の部屋指さしながら聞いたら 「一階のこっちの部屋ね、自殺したのはここなんだけどね…」って駐車場を指さして言ったんだよね。 

でも入居してから2周間は経ってるし、俺が入居した時から1階には誰も住んでなかったし… 

 普通こういうのって自殺した直後だと思うじゃん?だからあんまり聞きたくなかったけど「え、いつ亡くなったんですか…」って聞いたのよ。そしたら、その女の人っつってもおばちゃんだけど「半年くらい前」とか言うの。 で、「あー…そうなんですか(は?なんで今さら?)」って思って話し聞いてたら坊さんが「困ったことにまだ成仏してくれないのよ…」って言ったんだよ。

「あー成仏してないんですね…」 は!?成仏してないってなに?つーかなんで成仏してないってわかるの?ってなったよね。

まぁその日から坊さんの「成仏してないみたいなのよ…」の一言が頭から離れなくなった。怖くなって友達を呼んで無理やり泊めさせたりした。


で、友達泊めてる日のある夜のことなんだけど、その日疲れてて俺だけ爆睡してたんだが、変な夢を見た。 

 自分の部屋で手鏡を持って自分の顔を見てる俺。ふと鏡の角度がずれたときに俺の肩から男の顔がこっち見てんの。白目がなくて全部真っ黒だったの覚えてる。夢もカラーでめちゃくちゃリアルだったから「ウヒッ!?ヒィィィィィ!!」って声あげちまった。

そんで友達に起こされて目が覚めたんだけど、友達が「おい!!おい!!」って必死になって起こしてんだよね。 

 なんか俺が寝ながら号泣してたらしいんだよ。しかもごめんなぁーごめんなぁーって寝言言いながら。

で、なんか色々怖くなって大家さんに事情話したんだよね。すんなり敷金も礼金も返してくれたよ。 ただ、事情話してる最中に「ったく…こっちの許可も取らないでそんなこと(供養みたいなこと)やりやがって…」って言ってたの覚えてる。 

で、数日後引っ越し作業してたんだけどまた坊さんとその家族が駐車場にきて供養してんのよw 

そんで奥さん?みたいな人に「うちの主人きちゃったの…?ほんとにごめんなさいねぇ…」って言われた。 いやいや来てないけどwって言葉が浮かんだと同時に夢の中の男の顔が思い出されて、少しゾッとして聞いてみたんだ 旦那さんの写真とかってあります?って。

そしたら偶然持ってて見せて貰ったんだけど、夢の中で見た男と瓜二つでした。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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