猿を見たら目を隠して逃げろ

俺はとある島に住んでいるんだが、小さい時から祖父母に「山には一人で行ってはいけない。もし山で猿を見たら目を隠して逃げろ。そして私たちに報告しろ。」と何度も言われてきた。


あるとき近所のでかい鉄塔(7mぐらい)の先に犬が刺さっていた事があった。

それを俺の親が発見した途端、すごい勢いでそこら中に電話をかけていた。

田舎の人ならわかると思うが島には防災無線と言う物があり、 朝と夕方に『今日も頑張りましょう』や『一日お疲れ様でした』とか役所から放送が各家庭にはいるんだが、 その日は内容が違った。

「必ず戸締まりは確実にすること、21時以降は外出を絶対しないこと、外に明かりは漏れないようにすること、鱈の頭のミイラを玄関先に必ずぶら下げるとこ」

という放送がされた。


当時小学校高学年だった自分は、暇な田舎で、久しぶりの刺激に興奮して眠れなかったのを覚えている。 いろいろ親やじじばばに質問したが、適当に濁され何一つ教えてくれなかった。 普段は部屋で一人でねるんだが、その時は親子四人同じ部屋で寝た。 

みんなが寝静まったあとどうしても寝れなかった俺は夜中トイレにいった。 電気はつけるなと言われていたのでつけずに廊下を歩きトイレにはいったまではよかった。 ついいつもの癖でトイレの電気をつけてしまった。 つけた瞬間外から、「ギィィイイイ!」や「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあ゛!」みたいな叫び声が複数して、 俺は一目散に叫びながら部屋に戻って漏らした。

親が起きて俺を抱きしめながらお経みたいなのを唱えてた気がする。 


 次の日、学校を休まされ、じじに寺につれてかれ坊主頭にされました。 その時じじが「〇〇〇〇の声を聞いて坊主ならやすいもんだ」といっていたのを覚えています。 (〇〇〇〇は失念。多分4文字) んでその次の日学校に行くと、何人もが坊主になってて笑ったのを覚えてる。 今自分は内地のほうにいるんだが、今だ当時の事を聞いても何も教えてくらない。 

じじいわく、 「おまえは島からでた人間だからな。あれはこの島の中だけにしておかなければならないものだ。一種の呪いみたいな物だからな」との事でした。


後日談。

じじいいわく、猿によく似たもののけの類らしい。神に近い物ともいっていた。 ちなみにこの島には猿は一匹もいない。

誰も見たことがない。生きてる人では。見たら目が潰れる。 かなりの女好き。 

女にとり憑き悪さをする。←これが鬼憑き?  

男には絶対とり憑かない(本当かどうかわからないが)らしい。 

とり憑かれるのは伝染する。 

鱈は、魔よけと贄?の意味があるとの事。鱈の頭に気を取られるので、中に入ってくるのを防ぐらしい。 町に伝わる踊りにも鱈の頭をかぶった踊り子(神の使い)がでてくる。主役は天狗。

奉られているのは山神であり、舞う人は獅子とよんではいるも顔はほぼ人間です。ってか猿。

髪は神に捧げるらしい。 自分の考えではこれも贄の意味があるんではないかと…

刺さっていた生き物(今回は犬)は何かの合図であり、それが大きければ大きいほど危険だという。

〇〇〇〇に関しては、分からず。呪いの伝搬を防ぐため、島外に話を出さないようにしているらしい。 何か事件があったみたいだが、その事については教えてくれなかった。「年寄りが墓までもっていく事」  


また、年ははっきりしないが、(明治の終わりから昭和初期ごろ?)に島に何か生物らしき物?が流れついている。 その後になるが島では天然痘の流行、大火、かなり規模の大きい山火事が起こっているという事がわかった。


街に伝わる踊りについて。

由来は富山県にあるらしい。 今は舞が10あるが10番目の舞は島で創作「感謝の舞」これが自分も見たことがある楽しそうな舞だった。 創作された時期は不明。創作された意味も父はわからなかった。 ちなみに9番目は「神殺しの舞」この舞は昔から参加している父も生涯で1度しか舞った事がない。 

山神は元は獅子の頭で悪の塊だったらしい。しかしいつしか人間に近い顔になった。 これも時期と意味は不明。 普通の神楽は、獅子が良い神、天狗が悪い神で描写される事が多いのにな…

神の使いだと思っていた鱈は海神という設定でした。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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