知り合いの話

知り合いの話。

一昔前に農家と猟師を兼ねていた人から聞いた話だそうだ。

その人は、主にワイヤーを使った罠で兎などの獲物を取っていた。

時たま猿や猪なども罠にかかったそうだが、奇妙なこともままあったらしい。

獲物の身体が、薄皮一枚だけ残して、きれいに中身が食い尽くされているのだと。

残されているのは毛と皮だけで、不思議なことに血が一滴も出ていないのだ。

肉を溶かして食べる未確認生物がいるのかもしれないな。

その人はそう言っていたという。 


知り合いの話。

猟をするため山に入っていた時のこと。

樹上の猿を撃って仕留めたのだが、それが普通の猿ではなかった。

近くで見ると、猿には目玉がなく、眼窩にぽっかりと黒い穴が開いていた。

空気が漏れるような音がどこからか聞こえていて、それに合わせて猿の身体は

萎んでいき、最後には毛皮だけが残された。

歯以外の骨は見当たらず、肉も残っていなかったという。

毛皮をその場に埋めて塩を撒き、その日は山を下りたそうだ。 

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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