スタイリッシュな骸骨

その日は俺のうちがある市にかなりの雹が降った。

終電で仕事から帰って来て、

玄関の周りの雹を除ける作業をしていたんだけど、

家の前、夜中で人気の無い道の向こうから誰かが歩いて来た。


しかし何かおかしい。

人にしてはやけに細い、痩せすぎてる。

気になって見てたんだけど、

街灯の下に照らされてはっきり見えたそれは骸骨だった。


怖くて家に逃げ込みたかったけど、何故か体が動かない。

骸骨は道の真ん中をどんどんこちらへ歩いてくる。


しかしその骸骨、

左の手を腰に添え、顔を真正面に向け、

歩幅は広く背筋も伸び、すごく綺麗な姿勢。

パリコレとかのランウェイを歩くモデルを想像してほしい。それだ。


その骸骨は颯爽と俺の前を通り過ぎ、

しばらく行った角を曲がって行った。

そうしたら体が動く様になったので、

急いでその角まで走って行って見たけど、

既に姿は消えていた。


実は骸骨を見たのはこれで二回目。

最初は俺がまだ小学生だった頃。

夕方の公園、

小高い人工の丘の上でくねくねと動く骸骨がいた。

真っ赤な夕焼けの空の下で、

両腕を変な角度に曲げたり、

顔の周りで手をくるくる回したりしてた。

後年YouTubeでとあるPVを視て気付いたけど、

あれはヴォーギングをやっていたんだな。

何かスタイリッシュな骸骨に縁があるのかもしれない。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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