ショートショート 1421~14302021.09.27 04:161421.月明かり色の夜、紅茶に金平糖を入れると自分も落ちてしまった。カップの中は思ったよりも深かったらしく見渡すと魚の骨に似た星図達がそこらを泳ぎまわり先に落ちてゆく金平糖は遠く光となって、目を覚ますと私は同じ夜の中、いつの間にか空になったカップの底には「see you」と綴ら...
ショートショート1411~14202021.09.20 04:111411.コートから星が転げ出た。去年の流星群で入ったらしいが、どうしたものかと調べると警察サイトのその他拾得物の欄に「星」とあったのでクリックするとチャイムが鳴り、そこには少年が立っていた。「確かに」と星を受け取った彼は微笑み、翌日ニュースでは季節外れの流星が二つ観測されたと報...
写真がいっぱい2021.09.14 04:3910年前にお風呂で現所有者の叔母さんが自殺した、という物件を売ることになった。現地調査、物件広告のため建物の中に入ることに。築20年とはいえ中々状態がいい。意外と手入れは行き届いている。まずは一階で写真をとり、水回りのチェックをし、いざ二階へ。階段を登り切ると目の前に30帖くらい...
線香の番2021.09.14 02:35昔、爺さんの通夜で起こった不可解な出来事のお話。うちの地方の風習なのかも知らんけど、お通夜の夜の線香の番ってのがあるんだよね。通夜の日の夜通し、線香の火を絶やさないように寝ずの番をするっていう決まりなんだけど。もう随分と前、うちの爺さんが大往生で亡くなって、で当時大学生だった俺と...
ショートショート1401~14102021.09.13 04:081401.宇宙の果てにて君の宇宙服を発見した。旧式ビーコンは弱々しく、近寄りヘルメットを覗いてみると君は居らず、代わりに一輪の百合が花開く所で、『人が生まれ変わるのは凡そ百年』と遠い昔に誰かが言った。相対性理論越しにもう狂いすぎた私達の百年がやっと巡り会えたのだと、この時初めて気...
ショートショート1391~14002021.09.06 04:021391.死んだら一緒に最果ての海でダンスを踊ろう。もう意味を失った恋を置き去りにして愛だけで存在しようよ私達、祈る君の横顔だけが走馬灯に映ればいいのに、世界が少し邪魔すぎるから報われない。草木も眠る丑三つ時、墜落死した天使は月明かりに溶かされ、眠らない私を置いて羊達はゆらゆらと...