341.僕の部屋のカーテンが、ボコボコボコボコと、まるで何かに内側から突かれているかのように動いている。
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342.病気で亡くなった旦那が夢で
「移住先を見つけた」と言っていたので、私は家具や持っていきたい物を全て燃やし、金魚と共に
心中という名の引越しをしたのだ。
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343.最近、僕の夢を見たと言われることが多かったが、それがどんどん広がって
、全く面識のない人の夢にも出てきているらしい。
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344.何度事故に会っても、何度病気になっても死なないので、自分は神様に守られているんだと思っていたのだが、何十年、何百年だっても全く死ねる様子が無いので、多分あの世に嫌われているんだと思う。
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345.だだっ広いひまわり畑の、真ん中部分のひまわりだけ、何故かいつも太陽と逆の方を向いている。
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346.人を殺した気がするのです。
ふとした拍子に、文字で読んだ時、ドラマで観た時、私は、遠い昔、確かに誰かを殺した気がするのです。
この胸の緊張の切迫と確信と後悔は、自分の知らない過去の過去の過去を垣間見た様な、また今もそれに自分が呪われているような、そんな気持ちになるのです。
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347.その掌よりも少し大きな水晶の原石には、幽霊の化石が入っている。
太陽には消えてしまうが、月の光に暫く当て透かしてみると、丸い額に薄い眉、瞑ったままの睫毛の長い右目、ふっくらとした頬と今にも寝息をたてそうな唇が薄らとに浮かび出る。
君の左側を撫でながら、今日も僕は夜を更かす。
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348.君は名前が変わらない呪いにかけられている。
僕は死なない呪いにかけられている。
新聞、おくやみ、君の名前
僕はまた、君を看取れなかった
僕が死ななくなって1500年ばかりが経った、君の20回目の死だった。
『君はいつも夏に死ぬ』
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349.トンネルを抜け、また入る。
何回も何回も何回も。
何回目の通過で気付いた。
風景が変わっていないのだ。
あの山もあの電信柱もあの案山子も、
私の過ごした田舎の風景だ。
田んぼもおじちゃんも小屋もなにもかも。
驚いて駅を降りると
そんな幻想は消え、見慣れた東京の駅だった。
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350. 彼らは生まれるでしょう。
降りますでしょう。
触れますでしょう。
溶けますでしょう。
そして、消えますでしょう。
彼らにとって、私は死だ。
『雪について』
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