311.黄色いハンカチが枝に括り付いているのでそれを追っていくと、「未使用」という札のついた椅子とロープが僕を待ち構えていた。
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312.毎晩、床下からノックの音がするので見てみると、その真下には手足の無い骸骨が埋まっていた。
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313.それは特注のナイフだった。
純銀のそれは赤や緑の宝石を柄に散りばめ先端には美しい薔薇の飾りを施し、またサイズは予想通り、君の胸に丁度であった。
君の胸に咲いた薔薇をそっと引き抜き、己の心臓へ押し込んだ。
これはキスよりも性行よりも極上な…
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314.「こんにちわあ」
近所の神社にて声をかけて来たのは、頭から白の布を羽織り、翁のお面をしたやたらと大きいおじさんだった。
「たのしかった。また話そう」
そうおじさんが言った途端、強い風が吹いておじさんを巻き上げた。
おじさんは見えなくなり、あとは社の戸が閉まる音が残った。
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315.「殺したい」
彼はそう言いました。キスや性ではなく、私の唯一が欲しいのだと。
寿命や病気に奪われるぐらいなら僕が貰うとそう言いました。
「標本にしたい」
私はそう言いました。今は自由に生きて、それで死後は私の死ぬまで一緒にいなさい。私は君の見た目が変わろうと、変わらず愛せます。
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316.私は自分の想像した動物の標本を作るのが趣味なのだが、それが窃盗にあった。
それと同時期頃から、私の家周辺ではUMAの目撃談が多い。
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317.「お願いすると恋が叶う」
だれが言い出したのかは謎だが、
そんな噂が本校始まって以来ずっと
受け継がれている人体骨格標本。
そんな骨格標本が本物の骨だと
わかったのは、創立から
100年ばかり経った最近の事だ。
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318.僕は蒐集家だ。
壁一面に額縁に入った蝶の標本が飾ってある。何人もの人が僕の部屋に入り、この量、質、希少さに感激して帰って行った。
だが彼らは気付いていない。
僕の本当の蒐集品を。
皆が帰った後、標本を全て外して壁を眺める。
標本の裏には蝶のように美しい少年たちの顔が
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319. 子供の頃から運動会や発表会、事あるごとに赤い風船が現れる。
私がそれを見つけると、二、三度揺れて、目を離すと消えてしまう。
「お爺ちゃんはサーカスでピエロをしていたのよ。風船は子供を喜ばすって嬉しそうに…」
その古い写真には会ったことのない祖父と、あの風船が写っていた。
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320.空から巨大な子供の手が降りてきて、
二本指を足に見立てて歩行の真似をし出した。
その時にやっと、ここがその子のおもちゃ箱の中なのだと気が付いた。
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