「私の亡骸を、蓮華の上に乗せてくださいな」
私の10年来の友人が亡くなった。
彼は小さな小鳥であった。
夢で彼の言った通り、私は彼に別れを告げるため、夏の朝、彼を蓮畑へ連れて行った。
そっと蓮華の上に乗せると蓮の花びらが動きだし、スルリと彼を花びらで包んで、そして水の中へ潜っていった。
2,3個気泡が上がっただろうか。
波紋が広がりもう一度、蓮華が浮き上がってきた。
神々しく輝く水を滴らせ、私に向かいはらりと開いた花の中にはもう彼はおらず、代わりに美しい蛋白石が一つ、輝いていた。
朝日に艶めくそれは、丁度、彼によく似ていた。
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