通りゃんせの響く横断歩道を渡る。
橙色の街灯がジリジリ音を立てて点滅しながら辺りを照らした。
通りゃんせ、通りゃんせ、
どのぐらい歩いただろうか。
まだ端には着かず、湿り気と肌寒さが身を包む。
朽ちた鳥居から彼岸花が此方を見ている。
目があった。気がする。
まだ着かない。
ゲラゲラと笑う狐と、シクシクと泣くおかめの面。
何処かで見知った地蔵の生首。
お前は、誰だ。
まだ着かない、まだ着かない。
背後から皆が見ている。
自分がどこへ帰るのか、はたまた何処かへ向かう途中だったのか。
積み石が崩されていく。
歩かねば。はて、何処へ。
通りゃんせ、通りゃんせ、
歩かねば。
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