161.車にAIを搭載したところ、誤作動を起こす車が多くなった。
なんと勝手に動き出してしまうのだ。
ある車は夜中に動き出し朝方に帰ってるくるのだが、GPSを見たところ毎晩海沿いの道を走っていたらしい。
1番多いドライブルートは、その車を製造した工場の前だという。
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162.ある廃病院にて肝試しを行った。
2階へ行った時、俺達の声ではない叫び声が聞こえた。
恐らく俺達より先にきた奴らだろう。
「うわあああ!!」
男女数人が恐ろしい形相で此方へ走ってきた。
そして驚き硬直する俺達をすり抜け、廊下端の壁へと吸い込まれて行った。
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163.結婚式にて。
びゅうと強い風が吹き、花嫁の角隠しが地面に転がった。
その下、花嫁の額から立派な2本の黄色い角が露わになった。
いつ見ても立派な角だなあ。
3m程の巨体を縮こませながら照れる義理の姉を一生懸命慰める兄。
2人を微笑ましく思いながら眺めた。
桜の花びらが地面を埋めつくす春。
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164.祖母の田舎に泊まった夜、夜道を散歩していると神社に明かりが灯っているのを見た。覗いてみるとどうやらお祭りの様だ。
賑やかな声と食べ物の匂いに釣られ、一歩足を踏み入れた。
「つかまえた」
灯りも匂いも声も消えた。
全く見えなくなった足を何かに捕まれ、俺は闇に引きずり込まれた。
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165.ある魔術師が、自分の時間およそ2000年分を閉じ込めた水晶をうっかり割ってしまった。
2000年という時間が降り注いだこの国は、一晩にして廃墟と化したのだが、それから1週間後、考古学者によって発見され『新たな古代文明』として発表された。
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167.私はお姉ちゃん。
だから弟が私のを食べても壊しても、私が1番欲しいものを持っていても我慢して、弟をちゃんと守ってあげるの。
誰も私を見ないし褒めてもくれないけど…
でも、成長した弟が、私のためにお線香を焚いて手を合わせてくれるのをみると、お姉ちゃんでよかったなあと思います。
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168.俺は長生きするために、不調の出た臓器は全て移植手術している。
目も胃も肝臓も大腸も、手も足も何もかもだ。
ついに心臓も移植するに至ったが、相変わらず身体は良好だ。
満足しながらコーヒーを飲んでいると妻が訝しげに聞いてきた。
「貴方、いつから左利きになったのですか?」
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169.神社にて賽銭泥棒が病院へ搬送された。
賽銭口に手を入れた所、何かに引っ掛かり指が切断されたそうだ。
しかし箱を開けたのだが、指どころか血痕も無い。
結局指は見つからず、そのまま逮捕された。
その日の朝、神主が本殿へ参ると、お供え物の所に犯人のものであろう指と血痕が並べられていた。
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170.携帯のアルバムを見ていたら、見覚えなのない動物園で、まるで誰かと肩を組んでいる様な不自然な格好で僕1人だけが写っている写真があった。
どうも最近撮られたような写真なのだが僕は行った記憶も撮られた記憶もない。ただ自分の楽しそうな顔を見るとこれは大切な写真な気がするのだ。
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