本を読んだら外が赤くなった

小学生の頃に放課後の図書室で

本棚を見渡して読みたい本を適当に見繕っていた。

面白そうな本が有ってそのまま数ページ立ち読みしてたら

元々静かな場所だけど、何かやたら静かになったなーと思って周囲に目をやると

誰もいなくなってた。

あれ?あれ??どうしよう…もう図書室閉める時間だったの?と焦って本を棚に戻して

出口に向かおうとしたら、窓から真っ赤な空が見えた。雲なんてなかった。

夕日にしてはこんなになるのおかしいって思ってそのまま窓の外を眺めてたんだけど

外からぼそぼそ喋る数人の声が聴こえて来たので、

反射的にヤバいと思って本棚の影に隠れて様子を窺っても誰の姿も見えなかった。

その時、戦争が始まったんだ、ここももう危ないパッと頭に浮かんだ。

怖くて目を瞑っても頭に赤い空がずっと浮んで見えてて嫌だ嫌だ見たくないって

頭の中で呟いたら、

「Aちゃん?その本面白いの?」て友人の声がして

気付いたらいつもの図書室に戻ってた。 

夕日は?と友人に聞いたら「えーまだそんなに遅い時間じゃないよ」と返って来た。

だって私今違うとこにいたんだって言うと

「ずっとそこで立ち読みしてたけど…えー本の世界に入ってたとか言いたいのwww」

って笑われたので、恥ずかしくなって話題を逸らしながら友人と図書室から出て下校した。


翌日、友人に昨日の図書室の事みんなに言わないでねって頼むと

「なんのこと?」と言われ、恥ずかしい事を説明させようとしてるのかと思って

怒ってしまい、喧嘩になりそうになりながらも本の世界に~の話を言わないでと頼むと

一緒に図書室には行ったけど、そんな話はしてないし、声掛けて別々に帰ったじゃんかと言う。

しつこく聞いて結局喧嘩になってしまってしばらく口を聞いて貰えなかった。

仲直りした後ももうその話題は出さなかった

あと私もなんの本を読んでいたのか思い出せなかった。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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