雪の日の記憶

6歳以前の記憶が全然なかった。

幼い頃住んでいた家にふと気が向いて行き、近所を散歩していたら雪が降ってきた。

ある場所で急に思い出した。

一番仲の良かった友達がいて、ここで交通事故に遭い、命を落としたことを。

ちょうど同じ時期で、めったに降らない雪のせいでスリップした車に、自分の目の前で…

それとともに、それ以前の自分の記憶が次々に蘇った。

その友達の写真を見ても思い出さなかったのに。


その晩夢を見た。

ちいさなその友達が、サッカーボールを蹴っている。

「覚えてなくて悪かったな」というようなことを言うと、

「まあええよ」と言って、彼がちょっと笑った。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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