気球に乗った紳士

小学校低学年の頃、近所の公園で見た人の事思い出した。


その公園はかなり広くて、公園全体が小高い山みたいな形をしている。

で、公園内の一番高い場所にあるブランコに、友達2人と乗っていたら、

小さい気球が、こちらへ向かって飛んで来るのが見えた。

そのうちに、かなり近づいて来て判ったのだが、人が一人乗ってた。

で、自分等のほぼ真上に来て、気球の動きが停まった。

高さは、建物で言うと3~4階位の高さ。

数分しても動く気配もなく、空中にぼんわりと浮かんでいた。


なんで動かないんだろうと思い、気球に乗ってる人がどんな人なのか見てみたくなり、

友達とブランコを降りて、乗ってる人が見える位置に移動して確認してみた。

なんか、昔の英国紳士つうか、昔の国際会議の何とか全権団みたいな、凄い紳士が乗っていた。しかも、SM嬢みたいな黒いアイマスクをしていた。


友達が「おじさぁ~ん。なにしてるの~」と大声で呼びかけると、

紳士は手話ともパントマイムとも何とも言えない、変な動きをしていた。

俺も友達も、「それ何なのぉ~」って何度か声をかけたが、紳士は相変わらずクネクネしてるので、何だか怖くなりブランコ乗り場から立ち去った。

公園内に人もいなくなってるので余計怖くなり、家に帰る事にした。

家に帰る途中、何度も公園の方を見て確認したが、気球もあったし人影もあった。


その友達とは高校あがってからも近所だったので、

会うとたまに、「アレなんだったろうね」と話題にしてた。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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