おばけの机

小学校に通っていた頃の話です。4年生でした。

授業中、急に泣き出す男の子がいて、先生がどうしたと聞くとお腹がいたいとその子は訴えました。すぐに保健室へ連れて行かれ、その後けろっとして給食をたべていました。

その腹痛を訴えた子の席は、実はクラスでは有名な「おばけの机」でした。

その席に座る子は、いつも窓の外から誰か見てるよとか黒板に人の名前が書かれているとか、奇妙なことを言い出すのです。

そうでない子は、お腹が痛くなったり、熱が出たりしました。

もちろん、頻繁にではありませんが、席替えのたびに一度は誰もが経験していました。私は、その席の斜め前。


ある日、遠足が雨で中止になり、先生が各自持ってきたお弁当を机を輪にして食べようと提案しました。

私がその机に座ることになりました。

人一倍、怖がりな私は好奇心だけは強く、座ったらどんなだろうと正直楽しみでもありました。

「ガッ」

机の中から、手が出てきました。

それは私の手をつかみ、私は恐怖で泣いてしまい、教室は大騒ぎになりました。

その手を見たのは、私のほかにもいたからです。


大人の男性の手。

手は、すぐに消えてしまいましたが、お弁当どころではありませんでした。

おばけの机は、他の新しい(他の教室のもの)物と交換されそれ以降、何も起こらなくなりました。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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