よんどりっとわぁん!

時々仕事で老人介護施設に出向く。

そこには重度の痴呆の老人を集めた階があり、叫んだり泣いたりとかなり騒がしい階である

そこで介護職員と打ち合わせをしていたら、横で座っていたおじいちゃんが

「よんどりっとわぁん!」

僕は唖然とした。

「よんどりっとわぁん」

これは僕が子供の頃、弟とふざけて踊っていたときに使っていた言葉だ。

その言葉に何の意味もなく、考えたのも僕であったはずだ。

この言葉を知っているのは僕と弟だけのはず。

幼かった弟は忘れているかもしれない。

恥ずかしいが、弟と二人きりのときにだけゲラゲラ笑いながら踊りまくっていた。

おじいちゃん、僕の顔を凝視して手を振り上げながらまるで踊るかのように

「よんどりっとわぁん」

これって偶然なのだろうか。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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