幻の古本屋

大学で宗教学専攻してるんだけど、先日ある本を探していたんだ。

既に絶版になってて、古本屋にしか置いていない本。

自転車で何件か古本屋をはしごしたんだけど見つからない。

どーしよなーと思い、そのまま自転車を走らせていると、

「神道、仏教、宗教買い売り」(あんまり覚えていないけどこんな感じ)

と書かれた看板の古い古本屋を発見。

早速入ってみると、黄ばんだ本がぎゅうぎゅう詰めになっていて、

これは期待出来るぞ!と本を探し始めた。

宗教学系の棚がよくわからなかったけど、

大学の教授が大切にしてた本を発見したんで、この辺りかなと探ってみた。

で…びびったよ…その手の人が見たら飛び付くような本ばっかりなんだ。

うお!と声に出るぐらい興奮しちゃって、本来の目的を忘れるぐらい漁ってしまった。

「何かお探しですか」

そんな俺に店の人が声をかけてきて我に返った。

〇〇って本ありますか?と聞くと、

古いノートを出してきて、「うーん」と唸る店の人。

丸い黒渕眼鏡をかけた、70才ぐらいの老人だった。

あぁ、つい先日売れてしまいましたと言われ、少し気を落したが、

良い古本屋を見つけたことで気分は良かった。

また来ますとだけ告げて、その日は家に帰った。

で、もうわかると思うが…

1週間後、その店に行こうとしたんだけど、ないんだよ、店が。

通りも近くのコンビニもあってんのに、その店があったとこはマンションになってた。

あの宝の山は消えてた。

びっくりとかより、悔しかったなぁ。 

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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