ギターケースが落ちている

うちの小学校の地下には小さい川が流れている。

グラウンド西側から入ってグラウンドを横断し、東側の道路一本越えた先で地上に出る形。

この川ってのがあんまり水質がよろしくなくて、ザリガニがうじゃうじゃ沸く事から俺達の間では『ザリ川』って呼ばれてた。

当然ザリ川で泳ぐのは禁止されてたし、そもそも東側の地上に出た所もフェンスに両岸囲まれてたから誰も近付けなかったんだけども。

んで、そんなある日。

俺達は放課後に田んぼの畦道で遊んでいたんだが、ふと友達の一人が「あれ何だ?」ってザリ川の方を指差した。

みんなで集まって見てみると、フェンスの内側に半分川に浸かるような形で何かが落ちていた。

俺は両親が音楽趣味だった事もあって、その物体が『ギターケース』だとすぐにわかった。

それを友達に言うと「あれ拾ってこようぜ」って話になって、友達の一人がフェンスをよじ登ってギターケースを引っ張り始めた。

だけどそのギターケースは小学生一人では全く動かせない程重く、友達は結局諦めて戻ってきた。

彼曰くそのギターケースにはダイヤル式の鍵が付いていて、開ける事もできなかったらしい。

そしたら「あれ落とし物だろうから警察に連絡しよう」っていう話の流れになり、俺達は近くの交番でその事を伝えて、その日はみんな家に帰った。


 んで翌朝。

あの畦道で氏体が発見されたというニュースがテレビで流れた。

『氏体は切り刻まれた状態でギターケースに入れられ、川に遺棄されていた』

その後俺は『発見当時』現場にいた友達数人と共に何度か警察から事情聴取された。

特に実際ギターケースに触れた友達なんかはニュースが報道された日からしばらく学校を休む程のショックを受けていた。

今でもその時の話になると、彼は体が震えるらしい。

だけどこの事件の何が一番怖いって、そのサツ人氏体遺棄事件の犯人っていうのが俺達が遊んでいた時に農作業をしてた農家のお兄ちゃんだったって事かな。 

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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