ニュルニュル

保育園に行く前は、親は共働きで、婆ちゃんも畑へ出ていたため、 俺は築百二十年の古い家の中で、一人遊んでいることが多かった。 

そんなとき、顔だけ女で体が蛇の謎の生き物を座敷で見つけた。 

蛇っていうよりドラゴンの尻尾みたいな感じだったかな、とげとげは無かったけど。

そいつは足だけ蛇とかではなく、太い蛇の体に直接般若のお面をつけたような外見だった。とにかく額に二本の角が生えてたから般若っぽいイメージが残ってる。 今会ったら問答無用で逃げ出しそうな外見だな、当時は怖がった覚えはないけど。

ニュルニュル動くので「ニュルニュル」と呼んでいた覚えがある。 

 もう昔の事なので如何にして遊ぶようになったのかは覚えていないが、 一人で退屈な時、座敷の鏡台の下とか、その奥の物置とかを探すと、大抵は見つけることが出来た。 「ニュルニュル」は足が遅かったし、座敷とその前の廊下にしか来なかったので、 大抵座敷でおしゃべりをしていた気がする。 内容も「おたまじゃくしと似てるね」とか、そんな事しか覚えていない。 やがて、保育園に入るといつの間にか居なくなってしまって、少し寂しかった思い出がある。 今思うと、「ニュルニュル」も座敷ワラシだったのだろうか。 


WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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