うちの事務所はビルの3階に入ってます。 エントランスホールは3階天井までの吹き抜け構造。 

んで、この間午前三時まで一人残業していて、私はビルで最終退館者になりました。 真っ暗の中ライトアプリで足元だけ照らし、静かに階段を降りて、一階についてライトを消し、顔を上げてびっくり。 

大きな象がいました。デカすぎ。 

一階の床から吹き抜けに続く三階天井まである大きな象さんが丸まってる。 きれいな飾りがいっぱいついてて上品な感じ。  

唖然としたけれど、下の会社はイベント看板とかの印刷会社さんなので、 きっとバルーンとか…そういうやつだろう、と思い、 何のイベントで使うのかなーすごいなー明日上司に聞いてみよう! とカードキーをピピッ!したら、音のせいか象が目を開けた。  

ゆっくりまばたきして、開ききってた目とばっちり目が合う、 そしたら湯気みたいにふわ~~~~~っと消えてしまった。 嗅いだことのない不思議な匂いが外まで漂ってきた。


その後は無心で施錠。硝子越しの玄関ホールはいつもの通りがらーんとしてて、 翌朝見たらやっぱりそんなものはないし、先に帰った上司も「そんなの無かった」と言っていて、 意味不明すぎたので「寝ぼけてた」って事で終わらせることにしました。 

それから象のこともすっかり忘れるくらい毎日深夜残業をつづけて、 昨日、もう心身共に疲れ果てて長い一本道を帰ってました。 住宅街の中で線路が少し遠くを横切って、ナナメ右から朝日。 それがあんまり綺麗で、毎日何やってんだろって悲しくなり線路でしゃがみこみました。 ぐったりしてると右側から照り始めてた朝陽が陰った。  

わー誰か来たー通報されたら仕事に支障が~と思って顔を上げたら、 遠くからあの大きな象が線路を歩いてきてた。 田舎の静かな、もうほとんど無音の、背の低いアパートの間を走る線路を、 ぎらぎらの飾りをいっぱいつけた象が、背後に朝陽を背負ってゆっくりやってくる。 インド人が象を神様にしてるのがその瞬間すごいよく分った。めっちゃ神々しかった。

じゃらじゃら飾り揺れてるのに音も足音もしない。 はいずるように線路から出たら音もなく遮断機が下りる。 象が私の目の前を通りすぎると、前のように湯気みたいにふわ~~っと消えた。 その直後、始発が目の前をブワーッ!! 

思わず叫んだら遮断機の音も聞こえだした。  


向かいから渡って来た人に引っぱり起こされたんだけど、 私はフツーに線路内で倒れて、そのあと遮断機が降り始めたら自力で匍匐前進して逃げてぼーっとしてたと。 象さんがいましたよね?とは聞けなかった。あきらかに頭がおかしすぎる。 

 今日病院に行っても特に何もないし、別段良いことも悪いこともない。  

友達に言ったら「前世インド人なんじゃね?」って言われたけど、 カレーが嫌いなのでどうかなあと思いました。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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