ハムどん

妹が飼ってたゴールデンハムスターの話。ハムスターとどんくさいのどんで『ハムどん』。 

呼ぶと寝ててもフンフンしながら寝床から出て来るんだけど、ある日呼んでも出て来なかった。 

寝床の屋根を外して見た。腹上に向けて熟睡してるように見える。 

「ハムどん?」 人指し指でお腹をつんつん。あれ・・・なんか冷たい・・・ そっとつまみ出して両手で持ってみたら、体全体なんだか冷たいの。 

やべっ死んだか? どどどうする?ハムどん両手で持ったままおろおろ

「心臓マッサージ!心臓マッサージ!」と、急に後ろから妹の声がした。 

「お、おう!」と、心臓かな?って場所を指でそっとマッサージ。 うーむ効果でてるのかわからん。 「ダメだーどうしよー!」 

 「じゃあ気付けに酒だ!酒!」と再び妹。

 酒?ウチに酒なんかないよ!酒 酒 えーーっ? ふと目を上げると、ハムどんのケージが乗ってる隣のタンスの上に、 ベイリーズ(クリームリキュールですごく甘い)のミニチュアボトルが! これだ!ハムどん片手に口でキャップを開ける。「早く早く!」とせかす声。 ボトルの口を人指し指でふさぎ逆さにして指に中身を付け、一滴ほどをハムどんの口を濡らしてみた。 

「動かねえ~~だめだよ~~」と泣きそうになる。 

「マッサージ!マッサージ!」と再び妹。 濡れてない指でそっとそっとマッサージ。

 「酒だ酒!」 

「お、おう」と、ベイリーズを口へ。 

「マッサージ!マッサージ!」

 「お、おう」と、そっとそっとマッサージ。 

それを2~3度繰り返していたら、ハムどんの口がもぐもぐもぐ。 体のぬくみも戻って来て、『ベイリーズもっと頂戴』というそぶり。ヤターーーー+.(*゚∀゚*).+ウゴイタ-ーーーー-!! と振り向くと、妹がいない・・・・・

あれ?妹?あれっ? そう言えば妹は学校行っててうちにいるはずない時間。 あれ、誰だったんだろ。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

0コメント

  • 1000 / 1000