通りすがり

このあいだの話。 夜、風呂に入って頭を洗ってたら、どかん、という音がした。 

何かと思ったら、換気扇が外れて真横に落ちている。 呆然と見上げると、換気扇があった壁の穴に白い手がちらりと見えて、すぐ引っ込んだ。 

 えっ、と思った次の瞬間、耳元で、 「はずれた…」  


びしょ濡れマッパのまま居間に走って、親から鉄拳くらいました。痛かったです。 

霊感持ちの友人に電話で泣きついたら、 『まだそこに居るよ。何か言ってる』

 何をー!?と凍りつく自分と対照的に妙に楽しそうな友人によると、 幽霊の主張(通訳友人) 

・自分は落としてない。 

・通りすがりに換気扇が外れかけたのを見て、あっと思って手を伸ばしたが触れなかった。  

・なんか勘違いされたっぽいので言い訳しに行ったが、逃げられた。

 ・わたし悪くないもん。 


 さようですか。 自分(幽霊)が外したのではなく、勝手に『はずれた』ということか。

 確かに風呂場の換気扇は古く、ピンを差し込んで留めるだけの代物なので、自然に落ちたとしても不思議ではない。 

友人曰く「お前と霊が二人して焦ってて面白かった。」

 幽霊さん、落下を止めようとしてくれてありがとう。勘違いして悪かった。 しかしだ。『自分はやってない』部分をまず強調してくれないと意味わかんないです。むしろ怖いです。 

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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