冷蔵庫のメモ

小学校低学年くらいの事。

夕暮れ時に家に帰ってきて、何かオヤツでもないかと冷蔵庫を開けました。

すると、キャベツだかなにかの野菜の上に、ビニール袋に入れられた一枚のメモ用紙が乗っかっていました。


『だからあ でっかくてきもちわりい ばけものになんの!』


ただ、これだけ。

これがメモには書かれていました。


記憶がうろ覚えで、この他に色に関する記述もあったような気もするのですが、

(~でっかくて、の前に”赤い”だか”黒い”だか書かれていたような・・・)

はっきりと思い出せません。

自分で書いた覚えがなく、かなり綺麗な字だったので、

そもそも字がヘタクソな私には、明らかに他人の字であることがわかりました。

大人の女性が書いた字に見えたので、居間にいた母親に見せたのですが、全く知らないとのこと。


うちの母は真面目な人間なので、こうしたイタズラをするとは考えられません。

私は奇妙だと騒ぎましたが、「どうせあんたがイタズラして忘れてたんでしょ」と、取り合ってくれませんでした。

その後、あまりに不気味だったので、メモは元の位置に戻して、

父親が帰ったら相談しようと思っていたのですが・・・

次に冷蔵庫を開けたときには、どこをどう探してもメモは見つかりませんでした。

一応、母親もそのメモは目撃しています。


『だからあ』『きもりわりい』等、私も家族の人間も書かない文体が、奇妙に記憶にこびりついていること。

そして、暗示的なのかどうかすらあやふやな、意図のわからない文章。

本当に、なんてことのない話なんですけどね。

全てにおいて不可解で、なんとも理解しがたい経験でした・・・

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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