もう一つの体育館

中学校1年の時の夏休み、部活で合宿に行った。


その日は合宿所の体育館で遅くまで練習した後、三年の先輩に付き合ってもらい自主練していた。

フローターは同級生で一番最初に打てるようになったのに、ドライブがどうしても打てなくて、悔しくて何度も先輩に教えてもらってた。


先に、先輩達は「明日は練習試合があるからね」と言って、寝てしまった。

一人で11時ごろまで練習したあと、全部片付けて、ちょっと夜風に当たろうと思って、

体育館の外側の扉を開いたら、そこは体育館だった。

そして、部の皆が練習していた。

黙々と掛け声もかけずに練習していた。


「えぇええ、皆練習してるんですか?言ってくれれば良かったのに!」

と、言いながら中に入ろうとすると、


私がいた。しかも、目が合った。


意味が解らず、扉を閉めて鍵を閉める。

その瞬間『ドンドンドンドン!!!』

と思いっきり扉を叩かれた。

急いでロビーに行くと顧問先生(女)と監督先生(男)がいる。

「先生~~!!」と先生の所へ駆け寄り全部話すと、顧問先生は「あんたは練習熱心だから、ちょっと疲れちゃったんじゃないの?」と言われ、

「じゃあ一緒に見てくださいよ!」

と監督先生について来てもらって確かめに行った。


体育館に着く。

問題の扉を開けてみるとやっぱり体育館があった。

監督先生も、「自分」と会ったという。


次の日顧問先生と、先輩達が行くと、あったのは断崖絶壁の海だった。

あれはなんだったんだろうねと、20歳過ぎた今でも、たまに監督先生と会うと話してる。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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