吊り上げられる

子供の頃の不思議な話って言えば、幼稚園だったある日に寝てたら、突然誰かにつり上げられた。


驚いて目を開いたら、真下に布団に寝ている自分がいて、

それがドンドン遠ざかっていった。(つまり自分が天井につり上げられていく)。

で、天井にドンとあたって、ずぶずぶって天井にうまりこんで天井裏に。

狭くて暗くて明かりがないのに、薄暗い空間でつぶされるような圧迫を感じて、

それでもがいてふっと振り返ったら、得体の知れない口が大きなおじさんが、

にまぁって笑った。

そのおじさんと、天井裏でずっといっしょで、臭くて、ねばついてて、

泣きそうで、怖くて怖くて、ふっとみると、家族全員が天井裏におなじように

吊り上げられていた。


怖くて怖くて、それなのにいつの間にか寝ていて、ふっと目が覚めたら、

朝になって布団にうつぶせに寝ていた。


ビックリして一階に降りたら、家族全員がすごく神妙な顔つきで、

妹がぶるぶる震えて泣いる。

父さんは無言だったけれど、目で「おまえもだったか」って言われたのがわかった。

その場で家族全員で荷物をまとめて、母の実家に逃げた。


その家には二度と戻ることなく、父が引っ越しして新しい貸家をかりて、

荷物は全部業者に頼んで移してもらった。

今でも、なんだったかわからないけれど、

それから、成人するまでみんなで一つの部屋に寝るようになった。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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