入れ替わった友人

現在、俺は台湾に住んでいる。

そこに高校時代の友達が遊びに来てくれたんだ。名前は渡辺。

その前の週からメールで連絡を取り、ちゃんと前日も電話で確認していたんだ。

無事に渡辺と合流。一緒にクラブ行ったり飲んだり週末を過ごした。


二日目、俺の彼女と一緒に3人で観光した。

そして三日目。この日は渡辺が帰国する日。

チェックインも済まし、飛行場のレストランで3人で話をしていた。


ふと、渡辺の手の甲にタトゥーが入っているのに気が付いた。

前に来たときはそんなの無かったなぁ。

いや、こいつはレストランで働いている。そんなところにタトゥーなんか入れるか・・・?

そしてそのタトゥーに見覚えがあるのに気が付いた。

藤木だ。

インドで知り合った友人で、全身にタトゥーが入っている。

あいつが手の甲に入れているのと同じタトゥーだ。

何故・・・?


パッと顔をあげると、そこには藤木がいた。

全く状況を理解できなかった。

数秒前には渡辺が座っていたはず。


「あれ?渡辺は?」「藤木、なんでお前ここにいるんだ?」

藤木も彼女も何言ってんだと言いたげな表情。

彼女は間違いなく今の今まで遊んでいたのは藤木だという。

藤木はまともに取り合ってくれない。

とりあえず藤木を見送った。


俺は確かに渡辺と遊んでいた。

二人しか知らない高校時代の話もしたんだ。

しかし後日クラブの人に聞いても藤木だったという。

皆タトゥーを覚えていた。


ここまでなら俺が疲れていた、頭がおかしくなったで結論は出るんだが、土曜日、渡辺と撮ったはずの写真を現像すると、そこには渡辺がいた。

やっぱり渡辺だったんだ!

しかし周りの話はすべて藤木。


しかも渡辺からその写真が送られてきた。

今でも渡辺と遊んだ時の話をしている。


さらに藤木はこの台湾の記憶が無いよう。

何が何だかわからない。




WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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