ショートショート1451~14602021.10.18 04:281451.「神様に内定決まったよ」明日からと夜の喫茶店にて、珍しく約束を取り付けた君が言った。最初は小さな奇跡の提供かららしくクローバーや虹、綺麗な貝殻などの二人で見た思い出を話しているとポーンと時計が零時を打って、夜風越し君のいた席には真新しい御神籤が置かれ中には待人来ると書か...
ショートショート 1441~14502021.10.11 04:241441.薄紫色の夜、私は夜行列車に乗っていた。外には砂漠が広がり、廊下に並んだ部屋を覗くと中は深海になっていた。隣の部屋には蝶達が、隣の隣には金の月がお姫様の様に浮かび、「私達は同じ物語に出る途中です」と言うのでまた会える様な小さな物語である事を祈りながら私は静かに月光の熱を覚...
失くしたリカちゃん2021.10.09 13:42小学一年の頃、姉が居ない間に、勝手に姉のリカちゃん人形で遊んでいた。コタツの中で遊んでいて眠くなった私は、リカちゃんを抱っこしたまま眠ってしまいました。しばらく時間がたって姉に叩き起こされ、リカちゃん人形を返せと怒られた。返そうと思ってコタツをめくったら、リカちゃん人形がいなくな...
父が物置を作り出した2021.10.09 13:32私の家の廊下の突き当りが袋小路になっていたのを、定年になったばかりでヒマを持て余している父が、「スペースがもったいないので物置にする」と言い出して、一人で工事しはじめました。何かに取りつかれたように父は作業をし、わずか一日で上下二段で扉つきの物入れが出来ました。翌日家に帰ると、い...
ショートショート1431~14402021.10.04 04:211431.陽に洗われた青い本達の海を一番清らかな螺鈿色の星になって漂う。未明、底、影の先。神を忘れた街の隅には紙吹雪が降り積り、毛刈りされた夢羊は声も上げず森の奥で儀式の為に殺されるからその瞳にあった物語は跡形も無いよ。今夜、世界は美しいから月明かりに溺死した蝶は夢だった事にして...