柳田國男の幼い頃のおはなし。
その日の柳田少年は、朝から様子がおかしかった。しきりと母親に向って、
うちは神戸におばさんがいるかとたずねる。そのたび母親はいないと答え
るのだが、あんまり何度も訪ねられるので、うっとおしくなり、途中から
放っておいてしまった。
しばらくすると、柳田少年はおとなしくなった。ほっとして家事に専念す
る母。だが、ふとみると柳田少年の姿がない。大騒ぎになって探し回るう
ち、隣町のあたりを歩き回っている柳田少年の姿がみつかった。
途中、柳田少年はいちどだけ知り合いのおじさんとすれ違った。おじさん
がどこへ行くのかとたずねたとき、柳田少年は神戸のおばさんのところへ
行く、と答えたそうだ。
成長した柳田少年には、まったくこの事件に関する記憶がなかった。
「神戸のおばさん」がどこからどうでてきたのか、まったく不明。
こんな話です。
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