ミヤザキ

十年ほど前の話。

世間がちょうど「宮崎勤事件」で沸きかえっていたころ、知り合いの家の

おじょうちゃん(四歳くらい)が異様に「ミヤザキ」を畏れていた。

幼稚園からの帰りにミヤザキが道にたってこっち見てたとか、お風呂場の

お湯の中にミヤザキがいたとか。

 なんか、大人から間接的に入ってきた情報を曲解していたらしく、「ミ

ヤザキ」というと、角の生えた鬼のようなものと思っていたらしい。

 ある晩、遅くまで知人と話しこんでいたら、奥の部屋からお嬢ちゃん

の泣き声がする。どうしたのかと知人と二人、子供部屋に行くと、お嬢

ちゃんが凄まじい勢いで泣いている。どうしたのかと問うと。

「たんすのひきだしがすこーしだけあいて、そこからミヤザキがみてた

よー!」

 あのときはさすがにぞーっとしました。 

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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