遺骨を食べた

私は大好きなおばあちゃんが亡くなって、骨を骨壷に箸で入れるとき、

1センチくらいのおばあちゃんの腕だかすねだかの骨を口に入れた。


きちがいじみてると思われても仕方がないけれど、

小さいころからおばあちゃんが好きで好きで、

そんなおばあちゃんが、ボケちゃって最後は私のこともわからなくて…。

あんまりおばあちゃんのことが愛しすぎて、

このままずっと自分といてほしい、余りだからだと言って

捨てられるなんて駄目だと思って、

余ってる骨、そっと手にとって、口に入れた。


後日何ヶ月かたって、親族の集まりのときにほろ酔いの叔父(母の弟)が私に、

「骨を取るときにの、おまえがの、ふっとばぁちゃんの骨を手にとって

口にさっと入れたのを見た気がするんじゃ。まさか食うちょりゃせんよな。」

といったので、ためらいながらも、いや、捨てられるのが嫌で

食べてしまったと白状した。

「そうかぁ、わしは…息子じゃけど、ばぁちゃんのことはそりゃ親じゃからの。

ずっといっしょにおって欲しいと思うけどの。やっぱりそこまでは出来ん。

そうか。●○(私の名前)は食べたんか。」

といって、しばらく黙り込み、目頭を押さえていた。


やっていい事だったか悪いことだったかはわからないけれど、そのくらいおばあちゃんが大好きだった。

骨は後味はよくはなかった。 

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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