夢見る廃墟

「これ見て」

そういって友人は一つの写真を見せてきた。

それは少しレトロチックで綺麗なホテルのフロントだった。行き描く人々の服装も心なしか古めかしい。


「この写真ね、一週間前の夜に廃墟で撮ったの。

こっちの写真は昨日の昼に同じ場所で撮った写真。」

そう言ってすっかり退廃した、おんなじ間取りの廃墟の写真を見せてきた。

日の光が入り、床に生えた木の葉にかかっている。

まるで眠っているかのようだった。


夜になると、カメラ越しにだけに写るホテル。

どうやらその廃棄は、在りし日の楽しかった思い出を反芻しながら眠りについているようだ。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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