後姿

僕の学校の旧校舎一階の廊下には、お化けが出る。

嘘じゃない。みんな見たことがあるんだ。

不思議なのはそのお化けは「必ず後姿」だという事。

だれも顔を見たことが無い。


『顔が見てみたい』

放課後、僕のそんな提案に乗ってくれた友人と旧校舎へいった。

帰りのチャイムが後ろで鳴る。

時間はみんなが帰った17時で、夕日に照らされた旧校舎はいつもよりも不気味だ。僕たちを拒否しているのかその逆なのか、そこでズシリと立っている。

ふぅ・・・と意を決し校舎に入る。

ギシリ、と床が軋んだ。


作戦は僕と友人は二手に分かれ、廊下の両端から攻める。

こうすればどちらかは必ず顔を見れるだろう。

相変わらずお化けは廊下の真ん中にいた。


「いくぞ!」

僕の掛け声を合図にお化けに近寄った。

相変わらずお化けは後ろを向いている。

という事は友人は顔を見ているはず!


「「  顔見えた!?  」」

僕と友人は同時に叫んだ。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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