当たり前に猛スピード

近所の川が大雨とダムの放水が重なって濁流になった。

小学生の俺は一人でその川に遊びに行った。

なんとなくその川の凄まじい流れに見入っていると、

上流からスーツ着たおっさんがゴムボートで流れてきた。

ほのぼのと無表情で正座したまま。

なんというか、本当に焦ってるわけでもなく、かといって放心状態ってわけでもなく、

縁側に座ってるかのような「当たり前」って感じの顔だった。

だからなんとも気持ち悪い感覚に襲われたのを覚えてる。

おっさんはそのまま流されてった。


近所の急な坂を車椅子で猛スピードで駆け下りていくおばあさんも見たな。

おばあさんの方はもっとほのぼのとした感じで、しかし猛スピードで下っていくのが滑稽で仕方なかった。


ありゃなんだったんだろうか。 

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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