俺は馬鹿なんで、大学に入ったら、とれる講義を全部とった。
するとその1/3くらい、無茶苦茶綺麗なB子さんと一緒に学べることが分かった。
無茶苦茶綺麗で俺の好みなんだが、一日二日で大勢の男どもが周囲に群がっていったため、
アタックするのは速攻であきらめた。
イケメンだの清潔感だの頭良さそうだの、とても俺が乗り越えられる連中じゃない。
それに大学生活は他にも興味深いものがたくさんあるんで、あちこちのサークルに顔出しまくったりして、
B子さんのことはone of themですんだ。
7月にテスト期間に入り、教授から仕事を頼まれ、部屋に来るように言われた。
約束の時間より少し早く着いてしまい、鍵のかかった扉の前でぼんやりとしていた。
内庭を見ていたら、一カ所木が変なのに気がついた。
枝が不自然にしなっていて、葉っぱの間から何か見える。
なんだろ?と窓に寄ってよく見てみると、なんかぶら下がっていた。
じっと見ていると、人がぶら下がっていることが分かった。
え?と思って見続けていたら、風が吹いたようで木々が揺れて、ぶら下がっている人がぐるりと回り、
B子さんが首をつっていたのが見えた。
そしてその後ろに、いつもB子さんのそばにいた男もぶら下がっているのが分かった。
びっくりして内庭に走っていったんだけど、着いてみたらB子さんも男も何もない。
内庭中ぐるぐる探していたら、窓から教授が俺を呼ぶ声がしたんで、訳がわからないまま部屋に戻った。
戻るとき、廊下から内庭に出るまで誰にも会わなかったことに気がついたんだけど、
単にそうだったのか、気がつかなかっただけなのかは分からない。
仕事を終えて学食に飯食いに行ったら、B子さんが珍しく一人でランチを食べていた。
首にスカーフを巻いている。
後ろから近づいて首を見てみると、痣が筋になっていた。
「B子さん、こんにちは」と声をかけた。
今まで話しかけたことは無いんだけど、B子さんも俺の顔は知っているし、上品な人なんで、俺をバイ菌扱いすることもなく、普通に挨拶を返してくれた。
「どーしたの?その首」
「あー、やっぱり見えちゃう?気がついたらこうなってて。なんかのアレルギーかな」
それ以上は何も話さず、その場を離れた。
テストがすべて終わり、夏休みになり、B子さんが今どうしているかは、何も知らない。
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