起き上がる

山を歩いていると兎を見つけた。

銃で狙いを定め、ずどん、と一発。

兎は地べたに転がり、彼はにんまりしながら獲物に近づいた。

その時、血塗れの物体が、むくり、と起き上がった。

なんだ、こいつ。

銃を構えなおすと、頭の割れた兎が、猛然と彼の方へ駆けてくるのが見えた。

慌てて二発目を打つが、外れた。

兎が飛び掛かってきたまさにその瞬間、三発目が兎の体を吹っ飛ばした。

それはぴくりとも動かなくなったが、気味悪くなった彼は、獲物に触れもせず山を降りたという。


翌日その場所を訪れると、血みどろの小さな足跡が、山奥に続いていたそうだ。 

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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