幽体離脱がしたくてしょうがなかった

今から3年前のこと。 

その頃どういう訳か幽体離脱がしたくてしょうがなかった。 そしてある夜、マンションのベッドで寝ていたら金縛りになった。 金縛り自体は珍しくないので、そのまま様子をみることに。 

すると枕元がボヤーっと明るくなり、西部劇の音声が聞こえてきた。 まるで枕元に古いテレビが置いてあり、映画を流しているような感じだ。 もちろん部屋の電気は消して寝たし、俺の部屋にはテレビはない。 

テレビが出てくる金縛りは変わってるなと思ったが、そのままにした。すると今度は、ベッドの左側に男の子と男性が居て俺をじっと見ている。 その二人が気になった。特に男の子がずっとクスクス笑い続けてるのが気になる。 

しかし、今夜なら幽体離脱できるという妙な確信があったので、幽体離脱を試そうと思った。 ちょうど仰向けに寝ていたので、左側に横向きになれば離脱できるんじゃないかと思い、体を動かしてみた。 (幽霊に向き合うのは嫌だったが) すると少しは横向きになれる。でもまるで体にゴムが付いているかのように仰向けに引き戻される。 

それで、横向きになる→引き戻される、という動作を何度か繰り返した。 そうしたら勢いが付いて体がベッドの下に転げ落ちた。 どうやらこれで幽霊離脱したようだ。 

するとずっとベッドの側にいた男の子が、 「あ~あ、この人やっちゃったよ。バカだね」と言ってきた。 男の方はずっと無言。  

それを聞いた俺は怖くなってベッドにはい上がった。 そして寝ている自分の肉体に横から重なるようにして戻った。それはまるで寝袋に入るような感覚だった。 

戻った瞬間に西部劇の音声は消え、男の子達も消えた。 そして短い幽体離脱は終わった。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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