小学二年か三年くらいまで、空中を漂う金色の金魚みたいなのが見えてた。
基本的には姉ちゃんの周りをふわふわしてるんだけど、
飼ってた犬の頭でくつろいだり、俺のお菓子横取りしたりと、家の中を好き勝手にうろちょろしてたから、
うちで飼ってるペットかなんかで、姉ちゃんに懐いてるんだろうと思ってた。
今考えたらおかしいよな。変なもん見えてたんだな。という話を、大学生の兄ちゃんが里帰りしてきた時に話した。
兄ちゃん(姉ちゃんから見たら弟)は、「お前、高校生にもなって何言ってんの?」て言ってたんだけど、
姉ちゃんは「何でいるの?」とか言い出した。
実は姉ちゃんも、小学二年生の夏までその金魚が見えてたらしい。
だけど俺が生まれるちょっと前に見えなくなったので、
「あれは新しく生まれてくる弟の魂だったんだ!」と思っていたんだと。
それなのに俺が生まれてからも金魚がいたことが分かって驚いたらしい。
「友達だと思って楽しく話してた人が、実は全然違う人だったと発覚したときの気分に似てる」とか言い出して吹いた。
姉ちゃんが言うには、あの金魚みたいのはショーベタとかいうのに似てるらしい。魚詳しくないからわかんねえ。
あと、寝返り打った犬に潰されても平気そうにしてたのが不思議。普通ならぺちゃんこだよな。
触った感じはグミっぽかったけど、ぐにぐにしたら嫌がって逃げてたなぁ。
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