思い出せない

中学の時に体験した奇妙なこと。

夏休みのある日、深夜徘徊にはまっていた。

というより、田舎過ぎてウロウロするしかやることなかったんだ。


その日は、いつもの5人で集まってダベっていた。

「なーんか、暇だよなぁ」となって、誰からか「たき火しようぜ!」という流れになり、山の畑へ行くことになった。

今思うと山火事でもしたら大変だな。


街灯もなくてかなり雰囲気ある農道を自転車で入っていく。

自転車のダイナモの明かりを頼りに進んでいく5人。

そのときは、火を扱えるというテンションと5人でヤンチャな年頃ということもあって、

恐怖を感じす真っ暗な道を進んでいった。

と言っても5分ほど農道を行くと目的の畑へ着いた。


自転車を止めると、真っ暗な山から変な音が聞こえてくることに気がついた。

人がうめいてるような、はたまた聞き方によっては無機質にも聞こえる声(?)。


「・・・・・ンッフー!・・・・ンッアー!!・・ッカー!!」


やばい!なにかいる!とめちゃくちゃビビりながら、パッと声のする方を見ると、

山の斜面にうっすらと白い影?がぼんやりと見える。

形は、ぱっと見ただけで異様と感じる異形なナニカ。

下半身が異様に細い。

人の形なんだけど、頭がなくて、本来頭のところが盛り上がってる感じ?でも顔は何故か認識できたのよ。

だって、なぜかめちゃくちゃ笑顔で怒ってるのが伝わってきたから。

しかもちょこちょこと小走りで山からこっちに向かって走ってくるのよ。


先頭の俺は必死で後ろの奴らに「逃げろ!」と叫んで、自転車で猛ダッシュ。

みんなそのヤバい雰囲気に気がついたし、後ろのやつも確かにナニカをみてるわけで、

自転車を転けないように逃げる体勢にして猛ダッシュだったわけよ。

幹線道路に出てコンビニまで一目散に逃げて、やばいのがいた!と叫びあう。


そのあと、怖い話だと奴が出てきたり~とかあるんだろうけど。

実際にはなにもないもので。その後みんなでビビりながら家に帰った。


んで、ここからが奇妙な体験。

後日、学校でその話を一緒にいた奴に持ち出すと、「怖かったよなー!」と一緒にナニカをみたやつと語っていた。

一緒にいた奴らと話すと、同じような感想。


ただ、みんなで確認すると5人全員の名前が出てこない。

4人まではみんな出てくるんだけど、あと一人名前が出て来なかった。

もちろん自分を数え忘れてたってことはなく、

みんながみんな5人居たと認識していて、4人までしか名前が出て来なかった。

俺の感覚からしたら、その一人は確かに小学校から遊んでたし、

存在がぼんやりあるんだけど、誰だったかは思い出せない。

今年24になって、その存在は記憶から薄くなっていくばかりだ。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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