妹が遊びに来た

一人暮らしをしているマンションに妹が遊びに来た。

大学から帰り、コンビニ弁当を食べながらテレビを見ていた時の事だった。おそらく午後8時くらいだっただろうか。

会話は少なめだったが、ソファーに並んで座り一緒にナイター中継を見てた。

妹は野球はよく知らない様子だったが、俺と一緒に阪神を応援してくれた。

その後は下らないバラエティ番組で笑ってた。

テレビを観たりしながら、兄妹の何気ない時間は0時前後まで流れた。

翌朝、目が醒めると妹の姿はなかった。


そして、ある事を思い出す。

『俺に妹などいない』


明らかに夢などではなかったはずなのだが、確かに呼んでいたはずの妹の名前さえ思い出せない。

顔は思い出せた。(6年前の話なので、今は何となく程度だが)

前日の新聞のテレビ欄を見た所、0時の番組のオープニング~10分程度?を観ていたのは確か。妹の隣で。

その時まではソファーに座っていたはずだが、目が醒めたのはベッド。(ソファーとベッドはすぐ隣だったが)

自分の身体を見た所、前日風呂には入っていないと思われる。

服は前日大学に行き、着替えずにそのまま過ごした昨夜のまま。


最初は「夢?」とも思ったが、一つだけ明らかな証拠があった。

キッチンの流しにあった2つのグラスだ。

自分用のグラスは決めてあるので、俺が来客用のグラスを使う事などない。

顔を見て『妹だ』と認識して部屋に迎えてしまったアレは一体誰だったんだろう…。

でも楽しかったんだ。何となくもう一度会いたいような気もする…。

誰だったんだマジで!!

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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