姫路のとある廃屋に肝試ししようって、友達2人と忍び込んだことがある。
その廃屋はまさに洋館という感じで、広い玄関ホールは薄暗く、埃が積もっていた。
俺らは、そんなもんあるわけないのに「食い物探そうぜ」と、台所に向かった。
台所に着いて棚やなんかを探したけれど、もちろん食い物なんか何も無く。
「やっぱ何もねぇなー」とか言いながら、最後にでかい冷蔵庫を開けた。
そしたら、そこには目がパッチリした金色の髪の人形。古びたフランス人形がちょこんと座っていた。
俺らはメチャクチャビビって、
「うわ、悪趣味な悪戯すんなよ!」とか、「誰かがこれ仕掛けてったんじゃねぇの」とか、
「なんで冷蔵庫にフランス人形なんだよ!」とか、口々に叫んだ。
でも俺らだけが脅かされるのもムカつくんで、
次誰か来たときのためにと思って、フランス人形をそのままにして、冷蔵庫の扉を閉じておいた。
次に俺らは、暖炉のある広い部屋に忍び込んだ。
扉の真正面の壁にデカイ暖炉がすえつけてあって、机とソファーもそのままに残っている。
何か面白いもんねぇかなと思って暖炉の中を覗き込むと、
暖炉の床に何か不気味な燃えかすが残っていた。
頭の無い、人の形をしたもの。
服は燃え焦げているけど、それがフランス人形だったんだろうってことはわかる。
それを見た時は、さすがに3人ともぞっとして、「おい、もう帰ろうぜ!」ってことになった。
クルッとドアの方を振り向いた瞬間、全身が総毛立った。
開け放してあったはずのドアがなぜか半分閉じていて、
ドアのちょうど目線の高さの位置に、焼け焦げたフランス人形の頭が釘で止めてあるのが見えたからだ。
部屋に入ってきたときには、確かにそんなものは無かったはずだった。
その時、冷蔵庫に入れっぱなしのフランス人形が気になった。
なんとなく燃やされたフランス人形を見てかわいそうな気がしたので、
三人で話し合って「あのフランス人形、冷蔵庫から出しといてやろう」ってことになった。
台所に戻って冷蔵庫を開けると、そこにいたはずのフランス人形はなくなっていた。
さっき冷蔵庫を閉めたのも、二度目に冷蔵庫を開けたのも俺自身だった。
その後は、3人で一言も発さずに脱兎の如く廃屋から脱出し、
廃屋が見えなくなって、ようやく息ができるようになった。
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